KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

まもなく夏本番

月末押し詰まる日、電車で奈良葛城へ向かう。いくつも清流を越える。せせらぎの音に耳を澄ませる。川は高架のはるか先、遠く離れ過ぎて聞こえるはずもない。次第に景色は山深く、夏至過ぎて今がたけなわの深緑に目が吸い寄せられていく。仕事に向かう途中な…

要は長期戦

1日曜昼下がり、上方温泉一休の露天風呂に寝そべって一面広がる青空を眺める。雲が綿毛のように風にゆっくりと運ばれ、時の流れもその歩を緩める。時折は広い景色に身を委ねる。自らの両肩に乗るものなど微々たるものだと事の真実に気付いて心伸びやか楽に…

人間につきまとう始末の悪さ

1揚げたてのエビフライに自家製のタルタルソースをつけ食べる。うちの家内は料理上手。なかなか上出来、かなり美味しい。二男はご飯をお代わりし、私は白ワインをお代わりする。交わす話題はイースター島のモアイ像。このほど、モアイ像には地中埋められた…

日記を書けばいい事が起こる

1なんてこともない平日の夜、家で家内と晩酌していると部活を終えた二男が帰宅した。食卓に合流し二男が話す。部活の集合場所に自分だけ20分も早く到着した。そこに高3の先輩がいた。どうしていいか分からず緊張し少し気詰まりだった。早く他に誰か来ないと…

てんやわんやの末、ハッピーエンド

1嵩ある申請が控えた金曜日、朝5時から仕事を始める。本日予定の全件に目を通し、微修正などしているといつのまにやら8時を過ぎ、ツバメ君が現れた。終われば任務完了と飛脚には告げ神戸へと走らせ、一方の私はツバメ君の運転で大阪市内に向かう。雨降り…

男三人はしご酒した記念すべき夜

1男同士で酒酌み交わすなら、北新地の五鉄が呑み場とはしては最良であろう。昨夕午後6時半、壮年男子3人が一列並んでカウンターに着席した。まずは生ビール。色取り取り、お酒のオールスターといっても過言ではないほど良い酒が店に結集している。だから…

その名をいまだ知らない

1いろいろと教えてもらう。これはなんという料理なのか。「エビタルタルアボガド」なるほど、ちゃんと名前があるのだ。これは?「コーン&ミートパイ」二男は出される料理の名を知っていて、私は知らない。そのことに昨晩気づいた。私自身は、和洋中という…

ありふれた一日

1月曜昼過ぎ、近鉄八尾を後にし今里で降り周辺を歩く。風はあっても焼け石に水、蒸し暑い。五分も歩けば汗がにじむ。平野川を横切る。汚い川と言えば昔から平野川が大阪の代表格である。しかしいまだ鼻が曲がるほど臭いとは驚きだ。この日本、これほど異臭…

父の日の会話

1意気揚々と尼崎の北図書館へ遠征した混成チームはアウェイの地で呆気無く敗れ去った。寒さ対策となるよう着衣を選んだが冷房は効いておらずただただ暑い。それに加えて窮屈覚えるほどに混み合い、充てがわれたスペースは狭く、何やかやとガヤガヤとして落…

家族が音で繋がった土曜夜

1金曜に買物するはずが土曜に変更となった。週末の梅田、あの人混みを想像するだけで気が滅入る。夕刻家内と待ち合わせヨドバシカメラに向かう。案の定の混み具合。近所なのだからあえてわざわざ週末に突貫することはなく、平日にすればいいものをという不…

バラ色どころではない未来

1今朝5時。長男がリビングのソファで臥せっている。夜通し試験勉強し力尽きたのだろう。声をかける。寝るのか起きるのか、どっちだ。長男は言った。いま頭の中で数学の勉強をしている。寝ぼけての戯言なのだろうか。長男の様子をしばし眺める。どう見ても…

母らの集合知

1阪神電車の斜め前、ご婦人が日刊ゲンダイを手にするが、読むというよりは嗅ぐといった方がいいくらい紙面に顔をこれでもかと肉薄させている。愛しい誰かの写真が掲載されていてそれに頬寄せているのでもなさそうだ。何でもないような日常が裂け、そこに一…

思いがけない課外授業

東京某所。新春のやわらかな陽が注ぎ込むリビング。愛娘と横並びソファに腰掛け、届いたばかりの年賀状に顔ほころばせていたマーさんの手が止まった。星光恩師の年賀状に「光陰矢のごとし。今年、33期集まれんか」とある。マーさんはその短い言葉を凝視した…

モノだけでは全く足りず役にも立たない。

1降ったり止んだり、雨が悪あがきしているかのような空模様のなか東大阪市役所に立ち寄った。以前、家内に用事で行かせた際、ラグビー振興のグッズなどをもらって帰ってきたのでそこらに置いてるのだろうと見回すが見当たらない。家内に電話し聞くと、わざ…

行き場が失われていく

1日曜夕刻には山盛りであった洗濯物がすっかりキレイになって月曜朝にはきちんと畳まれている。昨日までは草臥れたような哀愁漂わせていた子らの制服が、アイロンで生気得たみたいに凛々しく佇み出番を待ち構えている。二男が研修館から戻り従来の日常が再…

局所短期的な視点の盲目

1少し寝坊してしまった。朝6時、クルマで出発。窓を全開にし武庫川沿いを走る。手荒な感じで車内は緑と水の香たたえた朝の空気に包まれた。左手を見れば、川沿いを多数のご老人が連れ立って北へ南へと散歩している。友だち連れや夫婦連れ、すれ違う度、ど…

友が皆我より偉く見える日々

1週末くらいは電車を使う。日曜なのに始発に乗って事務所に入る。仕事は順調に流れているので日曜に働く必要はないのだが、根付いた習慣はなかなか変わらない。仕事は早朝が勝負、土日であっても早朝の時間は無駄にはできない。そのように過ごしてどれだけ…

歯科医は星光出身がいい。

1たかおか歯科クリニックは尼崎の大物駅の真横、改札と接続するかのような近接の場所にある。私が2号線稲川橋の交差点で信号待ちしているとき、そこを左に折れてクルマで1分という場所、高岡歯科クリニックで家内は診察を受けていた。数年前、33期の同級…

家族と出会って歴史が始まった。

1終日雨が降り続けた。六月なのに肌寒く長袖のシャツに着替えて中之島に向かう。日はとっぷりと暮れている。出発の時間まで事務所でNHKスペシャル「生命大躍進」を見ていた。生命史をさかのぼりDNA解析によって母の愛の起源に迫っていく、その過程に引き込…

時代にクリンチして生き延びた人たち

1京橋は大阪屈指の猥雑さを誇る。あたり界隈、軒並み飲み屋。絵に描いたような大阪俗世の一角で一席。老境の事業主から久々声がかかって駆けつけた。しばらく疎遠であった。たまたま私の顔が浮かんだのか、はたまた何か特別なお話でもあるのか。いずれにせ…

箱根山体操はキモブサだけど

仕事後、一人残って「ローズマリーの赤ちゃん」を見ていると買物帰りの家内が事務所を訪れた。画面を発生源とし室内に対流していた不気味な空気が一挙に失せた。 私のうつろも正気に返る。 悪の瘴気さえ払いのける、歩く大審問官。帰る支度をし、家内に連れ…

恐怖の主君

ツバメ君の友人は大阪府警の警察官だ。このところ、応援で九州に駆けつけることが多いという。九州で勢力誇り人々を恐怖に陥れてきた暴力団の撲滅に福岡県警が動き始めたのは数年前のこと。当時その陣頭に立っていたのは星光のOBであった。いまその方は大阪…

走れメロス、市内は案外小さい。

二男の学校前に到着したのが午後5時前。今日は運動会だった。箱根山体操は大盛り上がりだったという。家内と二男をピックアップし桃谷へ向かう。知り合いの事業主さんが一押しする焼肉屋があって、今夜は家族揃ってそこで夕飯をとる。クルマをコインパーク…

たまたま、いま・ここ

1土曜夕刻、給油し満タンにしてから自宅にクルマを置く。次は私の番、西宮北口へ向かって歩く。さて、何を食べようか。前日の雨が除湿の作用をもたらしたのか、カラリ晴れ上がり空気が清涼。日陰だと肌寒さを覚えるほど。家族は西宮のいぬづかで記念写真の…

すべてが学びの場

1斜め前に座る青年と何度か目が合う。昼日中、カジュアルな格好で電車に座る小太りの二十代。どちらかと言えばパッとしない雰囲気だ。駅に停車すると、冷気とともに小雨が入り込んでくる。このところの夏日が嘘のよう。半袖では心もとない底冷えの雨模様。…

甲乙つけがたい

1若手の運転で豊中界隈を移動中ちょうど昼に差し掛かる。検索するとここら庄内はラーメン天国とある。目についたコインパークにクルマを入れ、グーグルマップでラーメン屋を探す。一番近い場所にあった「しゅんのすけ」に向かうことにした。カウンターに腰…

ここだけの話

1私がこのようなブログもどきの日記を書いているなんて、ここだけの話である。始めた頃はプロフィールなども掲載していたが、ひっそり佇むことこそ心地いいという性分、我に返って全て消去した。一方でこのように記録を書き残すことも性分であるようで、や…

母親の腕の見せ所

1夢が映像となって再生される。そんな機械を手にしたクレアはその世界に耽溺する。まさに夢中という状態。クレアは機械を手放せない。呆けたように「夢」の映像世界に没入したままとなる。ヴィム・ヴェンダース「夢の涯てまでも」の一シーンである。日本で…

中学受験も遠く過ぎ去って

1星光の大先輩から過激に美味でフレッシュなジュースの詰め合わせを頂戴し、翌々日、その御礼のご挨拶をしたときには、子らがすべて完飲していた。1946年の統計開始以来最も暑い5月であり、しかも育ち盛りでやんちゃ盛りということであれば、干上がるほど…