KORANIKATARU

子らに語る時々日記

夜風に吹かれての夕飯

日曜夕飯。
焼肉だと家内は言った。

普段とは趣向を変え、ベランダで肉を焼きそこで食事することにした。

長男は友人らとギャングスターズの練習見学に参加し留守であった。
有志募って近々アメフトの大会に出るらしい。
やるとなればとことん真剣に取り組むパッションそのものといった連中だ。

まずはアメフトの実物を見て研究しなければならない、と彼らは話し合った。
人づて当たったところ、京大絡みのつながりでギャングスターズ見学への道が拓いた。

それでいそいそ連れ立って京都まで出かけているのだった。

家族三人で手分けし焼肉のセッティングを整える。

先日の田中内科クリニック五周年の会場、わたしはギャングスターズOBにお目にかかったばかりであった。
向かうところ敵なし、史上最強であったギャングスターズの快速の主力がいま医師として、田中院長の盟友となっている。

そのような話をしつつ位置につきプレートを囲んだ。

白ワインで乾杯し、二男は麦茶。
塩タンを手始めに焼いていく。

夕刻、風は爽やか。
明から暗へと次第に夜の濃度は増していくが、屋外照明の光がスポットライトみたいに束になり、この一角だけで光を占有しているかのようになった。

こじんまりとして落ち着いて、家族であるといった実感が伴う。

そうそうと家内がiPhoneで撮った長男の作文を朗読しはじめた。
優秀作として学校に掲示されていたらしい。

内容はラグビーの試合の一場面。
球際の競り合いがストップモーションのように描かれるシーンと、日常の暮らしの流れが重ね合わせられ、時間が有する二重性のようなものが言葉としてしっかり捉えられている。

思い切り良すぎて誤用となった言葉遣いさえなければ、最優秀でもおかしくはなかっただろう。
その感性を言祝いで、わたしはワインからハイボールに移る。

二男はとどまることなく肉を食べ続けている。
試験期間中の一呼吸。
いい気晴らしになったに違いない。

住み慣れた同じ家なのに、ちょっとした工夫で食事の雰囲気が様変わりする。
我々はこの日、夜風に吹かれベランダで焼肉を食べた仲となった。

このようにして家族の一体感は増していく。

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