KORANIKATARU

子らに語る時々日記

いろいろあるが人生賛歌

日曜日、朝6時。

おなじみのセルフスタンドで給油する。

 

休日であり、自由の身。

満タンにしてどこへ行こうが誰に咎められるわけでもない。

 

が、行き先はいつもと同じ。

白み始める空の方に向かってクルマを走らせる。

毎日、同じことの繰り返し。

 

いつでも好きなときに逃れられる。

そう思いこんでいるだけで、実は抗いようのない力学のなかに留め置かれ、このような在り方以外にはあり得ないのかもしれない。

 

これが定め。

そう思った方が余計なことを考えずに済みそうだ。

 

この朝、車内で流す音楽は映画『ジャージー・ボーイズ』のサウンドトラック。

前夜、ひとり観てむせび泣いた。

一夜明けたが涙の余韻さめやらず、曲の加減でいちいち涙腺が緩みそうになる。

 

かつて一世を風靡した4人組バンド、フォー・シーズンズが主人公である。

映画ではその誕生から晩年までが描かれる。

折々のヒット曲が物語の時系列に沿って挿入されて、耳に馴染んだ名曲たちが、観る者にとって愛着ある特別な存在へと格上げされていく。

 

極めつけの圧巻は、Can't Take My Eyes Off You が生まれた瞬間だろう。

まさに、天から舞い降りた瞬間を捉えた、としか言いようがないシーンであり、息を呑み、続いて涙が溢れ出す。

 

My Eyes Adored You が流れ Can't Take My Eyes Off You へと至るチャプターは胸揺さぶられること避けられない。

この映画最大の見せ場である。

 

そして、ラストシーン。

フォー・シーズンズのメンバー4人が23年ぶりに再会する。

 

皆が皆いろいろあって歳を重ねた。

互いが疎遠となった空白の時間は決して短くはなかったが、彼らのなかにあった行き違いは固い握手によって一瞬で水に流された。

男というのは、実にいい。

 

出演者が勢揃いして踊るフィナーレを観る頃には、涙は爽やかなものへと昇華している。

これぞ感動。

さすが巨匠クリント・イーストウッド、その人生賛歌に拍手喝采となった。

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Jersey Boys (Clint Eastwood, 2014) ©Warner Bros