昼を食べ終え事務所に戻った。
スーツから作業用の軽装に着替えデスクワークを始めるが、この日は勝手が違った。
仕事から仕事へと移る際、段差を感じる。
いちいち間が空いて、よっこらしょと自らを駆り立てねば次へと進めない。
停滞の原因は一つしかない。
スムーズに事が運ばないときには決まって、肩が凝ってガチガチになっている。
カラダが頑丈なのか鈍感だからか、ひどい凝りにも徐々に適応し慣れてしまうので、ことが極まるまで気づけない。
こんなときは気合いを入れても足しにならない。
肩の凝りという原因を解消してはじめて事態が改善に向かう。
だから迷わず中座してマッサージ屋へと赴いた。
たまに家内も施術を受ける行きつけの店である。
もみほぐしてもらうこと75分。
ふんわりとろけ、肩が軽くなって呼吸も楽になった。
意気揚々と事務所に戻って仕事を再開。
頭に血と気が勢いよく巡り、だから段差など消え去って仕事が滞りなく進み始めた。
そして、得られた恩恵はそれだけではなかった。
カラダがポカポカし、なんだかとても幸福だ。
疲れがあると視界がかげるが、一掃されれば、一点の曇りもなくただただすこぶる気分がいい。
生きて在るだけで幸せ。
そうしみじみ実感できる。
身体が丈夫なはずなのに、もし万一、根暗な思考に囚われているといたら、単に肩が凝っているだけの話かもしれない。
そんなときは、一も二もなく腕のいいセラピストに揉んでもらうべきだろう。
揉んでもらって気持ちよく、それで世界が違って見える。
試さない手はないはずだ。
今夜の飲み会にもこれで体調万全にて参加することができる。
カウンターにずらりと並ぶのは男ばかり。
幸せに幸せが掛け合わさって、美味珍味が降り注ぐ。
すばらしくも武骨な酒盛りがまもなく芦屋にて開宴となる。