KORANIKATARU

子らに語る時々日記

こんな寂しいことはない

忙しいと朝が早くなる。
昨日に引き続き朝5時には家を出た。

 

順調に業務が片付けば昼過ぎには完了となる。
帰途、昨日と同じ店でラーメンを食べよう。

 

そう自分を励まし駅へと向かう。
冷え込む早朝、誰にだって希望が必要だ。

 

子守さんの朝からてんこもりを聴きつつホームに立つ。
MBSニュースが流れ、橋本治さんの訃報が伝えられた。


えっと声が出る。
ニュースの意味が分からない。

 

巨人とも言える天才である。
その人が死んだ。
そんなラジオのニュースなど信じられるはずがない。

 

ツイッターを開きタイムラインを追う。
タイムリーに何かを知るにはツイッターにいま勝るものはない。

 

電車を降り、まだ真暗な道を事務所へと向かう。

 

空には左から金星、木星そして有明月が並んで光る。
間近では信号機が点滅し、街灯がアスファルトの地面を照らしている。

 

もういないのだ、と思うと寂しさが込み上がった。
寂しさがズシンとのしかかるかのよう。

 

学生時代から中年に至るかれこれ30年、ずっと読み続けてきた作家である。
若気の至りの一時代をなんとか乗り切れたのもその存在のおかげと言って過言ではない。
いわば平成という時代まるごと世話になった恩人であり、わたしがこの世で唯一私淑する人物であった。

 

ここから先、最新作を本屋で見かけて手に取るということがあり得ないこととなった。
こんな寂しいことはない。