久しぶりの待ち合わせ場所は、食品売り場だった。
売り場に入ってあたりを見回し数秒後、家内の姿を見つけることができた。
やはり伴侶、しばらくぶりであったが即座に判別できた。
今夜は鍋にするというので食材をカゴに放り込んでいった。
各種野菜に魚介に肉。
お祝い用にスパークリングも忘れない。
昔はよくこんな風に一緒に買物していた。
たった半月時間が空いただけなのにそう思った。
おいしいものをいっぱい作ろうと家内が張り切るからだろう、あれもこれもとなってかさばって、持ち帰るには多すぎる荷となった。
両手にずっしりきて次第持ち重りし顔こわばるほどであったが、これが日常の重みなのだと自らに言い聞かせ耐え抜いた。
家に帰ると二男が待っていた。
みなで助け合い夕飯の支度をし、その間、家内が東京から持ち帰ったケバブを分け合った。
長男が気に入って二日に一度は食べていたというだけあってかなり美味しく、東京に行けば欠かせない一品になるだろうとわたしと二男の意見は一致した。
久々、三人で鍋を囲んだ。
いつもこんな風であったのに半月空いただけで、なんでもない夕飯の時間がとても新鮮に感じられた。
そして午後10時過ぎ、最終日は家内と別行動だった長男が帰宅した。
これで家族4人、久方ぶり晴れて無事勢揃いとなって、めでたしめでたし。
翌朝、家内が朝食を作る物音で目が覚めた。
冷え込む朝、炊きたてのご飯の温かみと味噌汁の風味がリビングに満ちて、実にいい。
当たり前の日常の、かけがえのないありがたさをしみじみと噛み締める朝になった。