朝早く針中野に用事があった。
家内にクルマで送ってもらうことにした。
家内はいつだって饒舌。
助手席でその二万語に耳を傾けているうちあっという間に目的地に着いた。
用事がすぐに片付いたので、もりやまクリニックに寄ることにした。
前夜から咳がひどくなり、時節柄、咳を多発していると周囲に警戒されかねない。
咳を鎮めるため、森山先生に診てもらい薬を処方してもらうのが得策だろう。
引き続き家内に運転してもらう。
もりやまクリニックは、今里筋の湯里東の交差点を過ぎてすぐの場所。
前に差し掛かるとちょうど森山院長がクリニックのシャッターを開けているところだった。
窓を開けて声をかけようと一瞬思うが、クリニックの前に大勢の小学生が居合わせていたので自重した。
以前聞いたとおり、もりやまクリニックは近所の小学生らの待ち合わせ場所になっているのだった。
森山院長は大阪星光の33期。
一言で人物を評するなら、「めちゃいいやつ」。
彼を知るすべての人がそう思っているはずである。
そういう意味で、星光生が有する良い部分を集約した標本的な存在と言え、星光生をイメージするうえで、その代表としてうってつけの人物と言える。
接して安心でき、話して面白く、いつだって気が利いて心優しい。
だからもりやまクリニックはそこら地域のなか最も安全で安心な場所、心許せる場となって、小学生がそこを待ち合わせの場所に選ぶのも当然という話になる。
近くにクルマを停め、家内と一緒にもりやまクリニックを訪れた。
急に訪れたのに、心温く迎えてくれ懇切丁寧に咳について解説してくれた。
専門的な内容が分かりやすくて明快。
さすが、大学に残って研究者になってもおかしくないと言われたほどの人物。
専門知識に基づくそれら知見に触れ、彼が非常に優秀な医師なのだということが素人にもよく理解できた。
その他、忙しい時間なのに家内を交えた雑談にも応じてくれ、家内もその人柄に触れ彼をたいそう気に入った。
この日大阪は急に冷え込み厳しい寒さに見舞われたが、冬が懐かしいと思うほど心は温かだった。
クルマに戻りながら、「どう、これが星光生」といった感じで、わたしは家内に対し鼻高々だった。
森山くんのおかげ。
ありがとう。

