その昔、うちの息子たちは二人揃ってサル同然だった。
そしてわたしたち夫婦は当時から筋金入りの親バカ。
たとえ不出来であっても丈夫で元気ならすべてよしと思っていて、アホでやんちゃな二人の姿が可愛く微笑ましく猿の惑星を楽しんだ。
しかし当然、他所様はその狼藉部分をクローズアップしてとらえた。
二人揃って顰蹙キッズとでもいうべき存在だったのではないだろうか。
だから息子らが中学に合格したとき、その不品行をよく知る方々は思ったに違いない。
あんなバカでも受かるのだ。
うちの子なら楽勝ではないか。
サルでも通るのであるから、生まれたときからヒトであればより一層楽に通る。
そう考えても致し方ない。
うちの子らを塾に通わせたとき、撤退する心構えはできていた。
わたしたち夫婦が中高一貫の良さを知っていたから塾に通わせたのであったが、もし箸にも棒にもかからなかったら時間とエネルギーの無駄になる。
適性がなければすぐにやめさせよう。
そう思っていた。
しかしほどなく、なんとかやっていけるのではという光が見えた。
子ザルたちは過剰なエネルギーの幾分かずつを徐々に勉強に向け始め、なんとか人並み程度には達することができた。
うちの家にとってその頃が文明の曙の時期と言え、この日記を始めたのもちょうどその頃のことだった。
もし息子らが塾でハードな勉強に出合わなかったら、過剰なエネルギーは何に向かっていたのだろう。
頑丈で体力あるからスポーツにでも邁進したのだろうと思えるが、思春期において溢れ出すエネルギーはおいそれと制御できるようなものではなく、使い途もそのままに引き続きやんちゃで鳴らし悪党にでもなっていたということだって考えられる。
兎にも角にも、物心つく時期と10代の難所は切り抜けて、いよいよこれから。
彼らのエネルギーの奔流が何を目指しとどこへ向かうのか目が離せない。
やっとのこと、うちの「猿の惑星」がまもなく佳境に差し掛かる。