先日の日曜日、駿台模試の帰りに息子は友だちらと連れ立った。
行き先は鶴橋の絆。
彼らの繋がりをそのまま名にしたような店である。
皆で肉をがっつき英気を養い、ラストスパートに向け互いを励まし合った。
そんな仲間と出会えたことが大阪星光学院による恵みであって、学校に求めるものはそれだけで十分と言えた。
美容院帰りの家内と待ち合わせ、そんな話をしながら予約の店へと並んで歩いた。
夕暮れ時、路地を吹き抜ける涼風が河内小阪の地に風情を添え、五感の感度が静か増幅していった。
座敷で向き合い、順々に出される料理に夫婦揃ってとことん魅了された。
かに身、松茸、てっちり、てっさ、あわび、牡蠣、タラの白子に和牛にうなぎ。
隠れ家のような一角で季節感たっぷりの食材をゆっくり味わって食べ、あくまで子らの話で盛り上がり、いまさらながら夫婦の親睦は更に深まった。
美容院では仕上げにヘッドマッサをしてもらったのだという。
電車で帰るとすれば、せっかくの癒やしを台無しにしてしまう。
だから結局、店の前からタクシーで家の前まで楽をした。
運賃は8,050円。
わたしが1万円札を出し、そこに50円を添えた家内がお釣りの2千円を受け取った。
このようにわたしたちはいつだって助け合う。
たまに楽をするのも悪くない。
ささやかながら、強く思い出に残る秋の夜長となった。
この先折々、この日のことを互い懐かしく思い出すことになるだろう。