家で仕事をする合間、家事もこなす。
各部屋にルンバを走らせ、一旦停止後、隅や端を中心に拭き掃除をし仕上げにまたルンバを解き放つ。
燦々と太陽が照りつけているとみれば、南を向いた1階の裏庭と2階のベランダに布団を干し、一定時間後、焼き加減が均一となるよう裏返したり布団を入れ替えたりする。
ゴミが出れば当然に分別し、西宮市のホームページをチェックし種類ごと搬出の日をタスクノートに記す。
もちろん同時に洗濯をし風呂も洗う。
花に水をやるし、この日はちょいとそこまで走ってクルマのガソリンも満タンにした。
この手数はかなりのもの。
仕事も同時並行で進めているのだから、まるで呼吸するかのごとく用事をこなす一種の曲芸と言えるだろう。
が、元来はものぐさな怠け者。
免許皆伝へと至る道のりは短くなかった。
家内が師匠でわたしは住み込みの研修生みたいなものだったと言えるだろうか。
暮らしを振り返れば甲斐甲斐しく働く家内の姿を目の当たりにし続ける時間の集積であった。
家内は家事一切をわたしに頼むことはなかったが、なにしろともに暮らして幾星霜、どんなバカでもテキパキ用事をこなすコツのようなものが呑み込めるだろう。
そのコツというのが至ってシンプル。
用事があれば、さっと腰を上げる。
それだけのこと。
考えてしまうと労を厭う気持ちに頭が占拠され、腰はますます重くなっていく。
無心に向かえばさっさと片付きおまけに気分良く、これが報酬となって自ずと用事をこなしたくてしかたがないという体質になっていく。
この日わたしは家の用事をあらかた済ませ、在宅ワークの域を飛び越え事務所に出かけ、いつものとおり掃除を済ませ、家で得た爽快感を倍に積み上げ上書きした。
実に気分良く、その爽快ついでにジムまでこなし家でビールを飲んでこれまた爽快。
思いがけず爽快な気分が三つ連続で押し寄せた。
週末はいつもならワインを開けるが、ワインを飲んで美味しいのは家内がいるから。
留守を預かってその有り難さが身に染みる。