KORANIKATARU

子らに語る時々日記

夜道で孤独の三拍子が出揃った

文の里駅で降り、暗夜のなか目的地へと歩を運んだ。

東へと向かう道は寂しく、やはり師走。

日が暮れてから冷え込みが一層増した。


見知らぬ地をひとり歩いて、うら寂しい雰囲気に自身も侵蝕されていった。

暗く、寒く、ひとり。

孤独の三拍子が揃った状態と言えた。


と、電話が鳴った。


家内からだった。

先ごろ受けた国家資格の試験に見事パスしたとのことだった。

息子らに電話し、続いてわたしに連絡が回ってきたのだった。


喜ぶ家内の話は、今日一日を振り返る内容へと広がっていった。


この日家内は仕事の手伝いのついで八尾の実家を訪れた。

ひさびさ両親と語らったのはいいが、置いてあるりんごが粗末なものに思え、帰途、家内は芦屋のビッグビーンズまでクルマを飛ばし、こみつ一箱を送ったのだという。


各所での家内の様子が映像となって、暗がりをスクリーンにして眼前に浮かぶ。


まもなく目的地というところ。

家内と話すことが楽しく、わたしはそのまま通り過ぎた。


北田辺周辺まで行き過ぎたところで家のインターフォンが鳴った。

何か届いたのだろう。

そこが区切り。

電話を切った。


今度は逆向き。

西に向いて歩いた。


相変わらずで暗く、寒く、ひとりであったが、心のなかは様変わりしていた。

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ここ最近の朝食 生瀬ヒュッテのチーズブレッド