土曜日の朝、銀座で降りまずはゆうゆう窓口を探した。
前夜、和菓子の空也の前を通りかかった。
12月分のもなかはすべて売り切れとの貼り紙をものともせず、家内は店に入っていった。
こういうときにダメ元でも聞いてみるのが家内の流儀で、だからたまたまキャンセルの出た3箱を買い求めることができた。
奇跡のような話であった。
そのうちのひとつを家内の実家に送るため、休日に開く郵便局へと足を運んだのだった。
配送手続きを済ませる間、家内はめぼしい寿司屋に電話を掛けた。
まんてん鮨というのが評判で、これまたダメ元で予約の電話を入れた。
なんということだろう。
たまたまテーブルに空きが出たとのことで昼の席を予約することができた。
ここでもダメ元のダメを家内はかい潜ったのだった。
まんてん鮨は日本橋からすぐの所にあった。
店の前には既に列ができていて、その真ん前にある神社にも列ができていた。
家内にいざなわれ、まずは神社の列に並んだ。
どんなご利益があるのだろう。
福徳神社についてネットで調べると高額宝くじの当選が叶うとの記載があった。
宝くじを買うことはないが、人生自体が運任せと言える。
そんな行程を家内と行脚しているのであるから、ここで手を合わせるのもお門違いではなかった。
しっかり念じて、夫婦でペアになって芽の輪くぐりまで行った。
これでまたきっといいことがあるに違いない。
午前11時。
まもなく寿司屋が開店となる。
店員が姿を現し列に並ぶ者らに予約の確認をし始めた。
なんと先頭のカップルを含め半分以上が予約せぬまま列に並んでいて、彼らは入店を諦めざるを得なかった。
肩を落として帰っていくカップルのうち半数はこのまま終局を迎えるのではないか。
彼ら彼女らのその先が案じられた。
寿司は素晴らしかった。
コース料理の出だしから息を呑んだ。
海由来の絶品がすべてここに大集結したようなものであった。
MAXがMAXを塗り替えていく。
そんな各種絶品の競演に夫婦で驚嘆し続け、だから昼から日本酒が二合も空いた。
堪能すること90分。
ああ美味しかった、今度は息子らも連れてくる、と大将に言って店を出た。
一日はまだ始まったばかり。
クリスマスで華やぐ東京の街へと夫婦で腕組み繰り出した。