KORANIKATARU

子らに語る時々日記

甘美な空想は時に切ない

独身時代を謳歌した訳でもなかったので、さっさと結婚していればよかった、とたまに思う。

 

5年前倒しにして25歳くらいから結婚生活をスタートしていれば、長男と二男の前にもうひとり男子を授かったのではないだろうか。

 

結婚前に多少なりとも抱いた「非力に伴う不安」は結局は杞憂で、長男を授かり二男を授かって暮らし向きはどんどんよくなっていった。

だから、5年早く結婚していれば、その男児を授かった時点で揚力を得て、暮らしは早々に浮上していったに違いない。

 

であれば、息子が3人もいて賑やか楽しく、長男と二男にとっても嬉しい話で、わたしたちはもっと早く生活の実感を得て頑張ったであろうから、幸福感は嵩増しであったはずである。

 

おそらく家内も同じ思いなのではないだろうか。

 

そもそもが我が事より我が子を優先するタチである。

自分によくするより、息子らによくすることに喜びを覚える。

だから、多芸多才な女房であるが、母であること以上の天職はないように思う。

 

もっと若い頃から「母道」に入門していれば、その凄味は計り知れないものであっただろう。

 

わたしにとっても家内にとってもそして息子らにとっても諸手を挙げてよいこと。

そう思えるからこの空想は実に甘美で、しかし一方、非現実であるとも分かっているので、やがては前に倒した時間が巻き戻り、そこに一抹の喪失感のようなものが残ってしまう。

 

息子らもそのうち年頃となる。

だから事あるごとにわたしは言うだろう。

さっさと結婚した方がいい。

 

実感に基づくわたしの意見は揺らがない。

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2022年1月27日午後 寿しのむさし京都駅八条口店