八尾の実家まで花を届ける。
家内がそう言うからわたしは助手席に乗った。
途中、地元の神社で揃って手を合わせ、そのまま家内の運転で大阪市内へと向かった。
家内の話が楽しいのでずっと乗っていたいと思うがまもなくクルマは事務所前に到着した。
クルマを降り自室にこもって業務に勤しみ一息ついて、後半戦に臨むため自宅に戻った。
家内が既に帰宅していて料理づくりに邁進していた。
左右の手足を思う存分駆使して、大袈裟に言えばそれくらい可動域を目一杯に広げてキッチンを動き回り肉を焼いて野菜を炒めている。
まるで格闘技だと指摘すると、家内はおどけて空手家みたいに独自の型で力いっぱい手足を振り回した。
やはり家内は面白い。
味見すると肉の出汁が効いて淡竹や玉葱の美味しいことと言ったらなかった。
まもなく午後6時半、宅急便が集配にやってきた。
ドライバーにジュースを飲んでもらってる間に家内が料理を冷まして荷詰めして、なんとか無事、二つの荷物を託すことができた。
それで落ち着き、ようやく夕飯。
通りかかった店でわたしが持ち帰った折り詰めを開け、家内はハイボール、わたしはノンアルを手にとった。
やり遂げた感があるからだろう、家内はハイテンションだった。
そしてハイボールを口に含むごと、ますますハイになっていった。
そんな夕飯時、二男から家内に宛てて写真とメッセージが届いた。
日曜の夜、いまはそれぞれ早慶に通う66期チームで上野にてサウナに入り、ラーメンを食べたという。
彼らの過ごし方はメンツも含めて昔からまったく変わらない。
顔なじみの面々がいっぱしの大学生になった。
そんな写真に見入って、すでに上空高くに達しつつあった家内の心が東京へと機首を向けるのは自然なことだった。
もはや自由で、東京は目と鼻の先。
気が向けば訪れるのでいいだろう。
なにしろ息子たちがそこで暮らす。
行ったり来たりして、母として有意義な時間を思う存分楽しむ。
それで家内がますます明るくなって、わたしだってますます嬉しい。