たった5年。
顧問先のひとつが瞬く間に巨大化した。
そのお祝いがあり駆けつけた。
スポーツ選手から行政の長まで。
紹介される祝辞の肩書が錚々たるものであったから、地元での存在感が明瞭に把握できた。
会場では地元ビールが飲み放題でそこそこ飲んだが、帰途、明石で途中下車してひとり静かに飲み直した。
いい流れはいい流れとともに。
そんな感慨にふけった。
顧問先がいい流れにあり、うちの事務所も同様。
ある事業主に言われた言葉を思い出す。
「悪い流れの者に関わると運気に障る、いい流れの人とだけ付き合いなさい」
今後わたしの役割はそういった流れの管理ということになっていくのだろう。
先日、ちょっとした大口の契約が決まった。
喜ばしい。
事業主と会った瞬間に昔からの友だちであったかのように打ち解けた。
すぐに次に会う約束をし、それが嬉しい。
間違いなくいい流れへと繋がっていくと思える。
他方、うちの事務所を訪れて、せっかく時間をとって面談しているのにその最中に私用の電話ばかりする者がいたという。
そういう礼儀知らずは、おそらく悪い流れを招き寄せる。
だから関わらぬのが得策。
わたしが同席していたら、その場で帰ってもらったに違いない。
快速電車の到着まで15分も待たねばならなかったから、明石駅をまもなく出発する普通電車に乗り込んだ。
延々と一時間以上、各駅に電車が停まって進む道中、わたしはひとり家族の写真に見入って、家族四人で育んできたいい流れをゆっくりとたどり直して過ごした。