忙しい日が続いた一週間だった。
そんなときは自分に甘くしたっていいだろう。
繁忙の締め括りとなった金曜日、長時間にわたって根を詰めた業務を終え、まだ明るさの残る秋空のもと明石の街へと歩を踏み出した。
焼肉でも食べようと店を探すが、夕方5時前に開いている店は駅前の焼肉和民しかなかった。
これもまた何かの縁。
わたしはひとり店内へと踏み込んだ。
やはりこの時間帯から焼肉をおっ始める者などおらず、広い店内に客はわたしひとりしかいなかった。
パネルで注文すると、まもなくレーンを走って品物が眼前にやってきた。
いちいち店員を呼んで頼む手間が省けて、だから遊ぶみたいにわたしはどんどん注文することになった。
途中、長男から連絡が来たので、彼に焼肉の写メを送った。
仕事を終え、気の向くまま焼肉を食べる。
これがわたしの夢だった。
そう伝えた。
夢を実現し終えて、わたしは店を後にした。
電車に揺られていると、家内から写メが届いた。
この日家内は神戸でママ友らと集まっていた。
並んで写るその写真をチラと見て、えっとわたしは再度目をやり凝視した。
皆と出会った頃から流れた歳月は十年ほどだろうか。
それぞれ相応にお年を召され、面立ちにそれが刻み込まれていた。
一方の家内は肌もつやつやで、なるほどこれが日頃の手入れの賜物なのだと一目瞭然で納得させられた。
うちで育った子ザルたちがなんとかヒトへと育ったのも、わたしが少しはマシな男になれたのも、家内のおかげ。
そう思えた。
すっかり日は落ち、くっきりと光り輝く神戸の街の灯のなかを電車が走った。
明日から週末。
この感じがたまらなくいい。