桃が食べたい。
家内がそう言ったので晴れ渡る空のもと岡山までクルマを走らせた。
日曜だけ店が開くパン屋で買ったサンドイッチを朝食とし、家内は横で食べ、わたしは信号待ちで食べ、横並びで食べるのがまるでピクニックみたいで実に楽しい。
だから、やがて家内が流れる曲に合わせて歌い出し、息子らの二分の一成人式の際に披露した歌も熱唱し、楽しいなか懐かしさで時にしんみりともする往路となった。
山陽道を西へとひた走ること二時間半。
昼を前に目的地である「サン直広場ええとこそうじゃ」に到着した。
一歩足を踏み入れると、所狭しと置かれた桃の箱が目に入り一帯に漂う桃の香りに陶然となった。
あれやこれやと買い込んで台車で荷を運び家内の実家にも一箱送ってこれで用事完了。
さて、この後どうしようと思案しつつ倉敷へと足を伸ばし、ネットで調べて評価の高かった回転寿司いわ栄で昼を食べた。
なかなか美味しく、平らげた皿は二人で18に達した。
続いては倉敷美観地区を訪れた。
思った以上に広々としいろいろな店が軒を連ね、至る所が情緒に溢れていたからぐるぐると歩いて飽きることがなかった。
二人でパフェを食べ、小物などを買い物しぶらついて、とてもいい時間を過ごすことができた。
夕刻を前に引き上げて、一路西宮へ。
人生山あり谷あり。
長距離を走るとその行程に重ね合わせてしまうからだろうか、昔話に花が咲く。
赤ちゃんがちびっ子となって小学生になり、中学から高校を経て大学生になった。
いろいろたいへんだった。
日頃はそんなトーンの話になるが、楽しいからだろう。
楽しい記憶が更にまた楽しい記憶を呼び起こし、各地点の楽しい記憶が結び合わさり一繋がりとなっていった。
まだ晴れ渡る空をバックに子らは笑顔で、だから当然わたしたちも笑顔。
桃だけでなく、キラキラとした思い出をもたっぷり載せて突っ走る復路となった。