KORANIKATARU

子らに語る時々日記

わたしはそのうちの一人だった

たまに仕事で遅くなる。

電車を降りると夜10時を過ぎていた。

 

家内の手を煩わせないよう、夕飯をひとりで済ませることにした。

駅前の居酒屋のうち目についたところにぶらりと入った。

 

隣に若い男子グループがいて、他に客はいない。

グループの会話が聞くともなし耳に入ってくる。

 

会社の同僚について話し、誰かをくさし、時折、誰かを持ち上げる。

各自の主張は注意深く似せられて、だから互いの腹を探りつつ、敵と味方についての意見調整をしているようなものであった。

 

飲みを通じて結束が強まって、この連帯があるから明日もまた頑張れる。

そういう意味で隣接の集まりは励まし合いの場と言えた。

 

かつてわたしも勤め人だった。

隣の話を聞きながら、自分自身の昔日を懐かしんだ。

 

そして続いて女子の話になった。

会社の女子について各自が様々な思いを述べ、ちょっと男前な男子がこの場を仕切り始めた。

 

身長158cmから172cmまで。

過去にいろいろな女子と付き合ったといった話をその男前が低く理知的な声で語り始め、他の男子は聞き入った。

 

サイズで語る切り口は目新しいが、中身はなかった。

単に好事家が自分のコレクションについて得意気に語るようなものであり、要は自慢でしかなかった。

 

月曜日の夜、若い男四人は女子について語り続けた。

それぞれの胸中に誰かの面影が浮かんで、もはや消えない。

だから、同じ話ばかりして、ますます女子の話になっていく。

 

昔々、わたしはその四人のうちの一人であった。

もちろん、低く理知的な声で語れるような遍歴はほとんどない。

2022年7月25日夜 西宮 道場

2022年7月25日 息子からの写真 松屋で夕飯