梅田での業務を終え、夕飯の場所が武庫之荘だったので阪急電車に乗った。
まだ七時を回ったところだったから、予約時間の八時半までかなり間がある。
武庫之荘を通り越し西宮北口で降り、ガーデンズの本屋で時間を潰すことにした。
まもなく家内から電話がかかってきた。
現地集合だとわたしは思っていたが、家内は家で待ち合わせるつもりだったという。
夜になって気温が下がり、ほどよい冷気が肌に心地いい。
だから夜風に吹かれ家まで歩くことにした。
玄関前で家内と合流し、駅前に出てタクシーを拾った。
一昨日は仕事を終えて一緒に事務所を後にし、一緒にかき氷を食べ、万宝家にクルマをつけてテイクアウトの品を受け取り、一緒にジムで運動してから夕飯を一緒に食べた。
このところずっと一緒に過ごしていてそれが自然。
やはりこの二人はつがいで暮らすようにできているのだろう。
十分ほどで焼鳥谷口に到着した。
隣に弁当屋があって、弁当を待つ客と谷口を待つ客が路上で混ざるが、明瞭に区分けがついた。
弁当は並べば買えるが、ここの焼鳥は予約も取れない。
食への意気込みが端から異なる。
ひと目でどちらの客か見分けがつくのも当然の話であった。
カウンター席に腰掛けて、隣が若きカップルだった。
家内が打ち解けて、いろいろと話しかけ、ついでにわたしも会話に加わった。
酔いも手伝い調子に乗って、自身の昔話などを始めそうになったところで家内がわたしを制した。
放っておけば、聞かせて無粋な話をし始める。
ああ、わたしも知らず知らずおじさんの部類になったのだと実感した。
一品一品に感心し通しの食事となった。
満杯の予約の間隙を縫い、来年一月、四月、七月、十月と計四回分の席を確保して帰途に就き、武庫之荘の駅まで歩いてそこでタクシーに乗り込んだ。
来年もまたずっと一緒が続く。
もとを正せば赤の他人であったのだから、実に不思議なものである。