KORANIKATARU

子らに語る時々日記

なんとなく続ける、それが極意

旅して非日常の場に身を置くと、気分は刷新されるが日常へと戻る道に段差が生じる。

 

たとえばジム。

日頃当たり前のように通っていたのは慣性の法則が働いていたからであり、いったん途切れるとその負荷を前に腰が引けてしまう。

 

月曜の夕刻、家内と顔を見合わせた。

ジムに行くのが億劫。

以心伝心、そう互いの心が通じ合ったがそうとは口に出さず、なんでもないことのように支度してクルマをジムへと走らせた。

 

つべこべ考えず身を投じ、結果、爽快感がもたらされ夜はノンアルで過ごし晴れて日常が回帰した。

 

ところが翌日火曜のこと。

夕刻に職員と客先を訪れることになっていた。

一緒に外出するのは珍しいことなので、仕事後に一杯誘って、わたしはジムを休んだ。

一方、家内は掃除屋さんに来てもらい、それを理由にジムを休んだ。

 

だから、水曜日にまた一から出直しとなった。

夕刻、家内と以心伝心。

互い浮かぬ表情をして顔を見合わせた。

特にこの日は冷え込んで、身も心も一層縮み込んでいた。

 

「今日はやめよう」

どちらかがそう言ってもおかしくなく、互いその言葉が相手から発せられることを期待するが、嫌々ながら支度して、双方そうであるから結局、相乗効果でそそくさとジムへと向かうことになった。

 

そして行けば行ったでなんとかなって、結局は爽快感に満たされるのだった。

 

そしてまたしても。

今日は木曜でジムが休みとなる。

 

平日なのに家内もわたしも休日に得られるような安らぎとともにあるのはそのせいで、おそらく夕飯は、この安らぎを酒の肴にどこか外で食べることになるだろう。

 

月から木で言うなれば二勝二敗。

明日金曜が決戦の日ということになる。

 

勝てばこの先もジムが夫婦の暮らしの一部となり、負ければ疎遠化がはじまって、ジムはわたしたちの暮らしの圏外へとはじき出されていくのかもしれない。

 

なんとなく気が乗らない。

振り返ればそんな程度の忌避感がいろいろな習慣の息の根を止めてきた。

なんとなく続ける。

この極意を取り戻せるよう、肩の力を抜き思考を無にして明日の夕刻を迎えようと思う。

2022年10月19日 谷六 エクチュア

2022年10月18日夜 京橋 徳田酒店のあと駅前の吉鳥