焼肉萬野の前で手を振ってわかれ、わたしは天王寺駅から電車に乗って帰途についた。
途中、電車がやけに長く停車していたからもしやと思って気がついた。
大阪駅に向かうつもりが難波行きに乗ってしまい、わたしはその終点の地へと運ばれたのだった。
難波駅を出て地下鉄四つ橋線を使って西梅田に向かった。
西梅田が終点で駅を降りる人の流れに混ざって出口へと歩いた。
見知らぬ匿名の者らと一緒に歩き、ふとわたしは自身の現在地点について考えることになった。
このところ友人らから喪中を報せるはがきがよく届く。
いつの間にやらわたしたちは親を見送る年齢に差し掛かっているのだった。
このまま先へと進んで、おそらく遠くない将来、今度は仲間の訃報を33期の間で交わし合うようになるのだろう。
さっきまで天王寺にいた。
タコちゃんが器用にトングを使いこなし、各種おすすめどころの肉をにぎやか焼いてふんだんに振る舞ってくれた。
煌々と灯る炭火が場を暖め、このライブ感こそが食の醍醐味であると思えた。
西梅田駅の出口は一方向にしかない。
無味乾燥とした地下の通路をたどって出口へと向かいつつ、さっきまでのライブな場面を振り返って胸が温まった。
このままわたしたちは時間の先へ先へと一方向に進んでいくが、やはり随所にライブな何かがあった方がいいだろう。
年の瀬に差し掛かった途端に冷え込んだ。
火を囲んで飯を食うには格好の季節であり、人生の残り時間も先が見えてきた。
もう固い話は抜きにして、ライブで一献といこうではないか。