雪が降り始めた。
電車だとまた何か不都合が生じるかもしれない。
だから朝、家内と一緒にクルマで事務所に向かった。
雪が舞うなかスムーズに走り、神戸線と大阪港線が合流する地点の渋滞を横目に阿波座で降りた。
事務所前で家内が降りてわたしが運転を代わり、駐車場に向かってそのついで職員の弁当を買った。
月末業務の山場を迎え、事務所はフル稼働状態だった。
大変であるがわいわいがやがや皆で力を合わせればそれもまた楽しい。
春に向け新しい仲間が必要で、それに合わせ事務所を引っ越すことになるだろう。
見合ったサイズまでは成長するのであろうから成り行きに委ね、もうひと頑張りするほかない。
昼になって家内とともに食事に出た。
雪は降り止んだが、相変わらず地上は強い寒気に覆われていた。
テーブル席で向き合って蕎麦を分け、ひょんなことからかつて家内を当てこすった人物のことが話題にのぼった。
結局は当の人物のレベルが低すぎた。
だから、そのコンプレックスを刺激する者を当てこするしかなかった。
そういうことなのだろう。
何をやっても敵わない。
何もかもが敵わない。
いつまで経っても敵わない。
抑えようのない勝ち気がそんな壁にぶち当たれば、努力して自らを高めるか現実を否認するほか打ち手はない。
前者は大変だが後者は手軽。
結果、癪に障る人物を当てこすり、小ウソを並べ偽ブランドを身にまとうということになる。
なるほど、否認という文脈で捉えればすべてに筋が通った。
努力は複利で将来に正の影響を及ぼし膨らんで、現実逃避はその正反対、全登場人物によってジャッジが下され、時を追うごと確かな幸は萎みに萎む。
楽に流された者の物悲しい末路として参照し、わたしたちは流れに合わせたんたんと努力を続けていこう。
そう話し、熱気あふれる事務所へと戻って、午後の業務に勤しんだ。