陽射しが暖かく、帽子や手袋といった防寒具はもはや不要となった。
武庫川に出て走りはじめて、尻上がりに調子がよくなった。
いくらでも走れる。
そう感じたが余力を残そうと65分走ったところで切り上げた。
家に戻ると家内がパンにはさむ具材を色とりどりこしらえていた。
休日のリビングによい食材の匂いが立ち込めて、野菜をはじめすべてがとても美味しく感じられた。
こうして昼を済ませ、続いてはジムへと向かった。
ちょっと休憩してから筋トレする。
そう言う家内とわかれ、わたしはプールで泳ぎ始めた。
泳いでいると頭上に視線を感じた。
上階フロアからガラス越しに家内がこちらを見ていた。
その視線を意識して、いつもより気張ってわたしは泳いだ。
男子というのはほんとうに単純な仕組みでできている。
やはり調子よく、いつまでも泳げそうであった。
が、プール教室の時間が到来し、生徒のおばさん方がどんどん入ってきて混み合いはじめた。
時計をみると泳ぎはじめて45分が経過していた。
今日はこれくらいにしといたろ。
ぶくぶくぶくと水中でつぶやいて水からあがった。
筋トレフロアで家内と合流し、いつものメニューをこなし、サウナ、マッサージチェアを経ての帰り際。
以前よりやせて断然かっこよくなった。
わたしをみて家内がしみじみとそう言ってカメラを向けた。
男子というのは単純な仕組みでできてる。
わたしは喜んで家内に言われるがまま、横を向いたり後ろを向いたりなどいろいろなポーズをとった。
たっぷり運動したから、夫婦揃って腹ペコだった。
では、と向かったのはパルヤマト西宮店で、いい食材を求めるならここをおいてなく、ここで調達するようになってから、他のスーパーのものなどとても口にできなくなっていた。
あれこれ買って、そのままクルマを走らせ十一屋に向かい幾つかワインを買い求めた。
わたしが洗濯物を干す間、家内が手際よく料理を仕上げて夕飯。
横並びに座って乾杯するが、ワインが感嘆するほど美味しくて、外はまだ明るく気分も同じく明るくなった。
春夏秋と季節ごとの旅行について話し合い、おいしい料理でお腹は満たされ、胸は希望に膨らんだ。
まるで守護されているかのよう。
わたしたちは、よき日常にバックハグされている。
わたしがそう話し、家内はそのふんわり感をたしかめるようにして頷いた。
いついつまでもこんな日常が続きますように。
土曜の夕刻、夫婦で思うことは同じだった。