この四月から上の息子が社会人になる。
十八まで一緒に暮らし、大学にやってあっという間に四年が過ぎた。
東京で一人で暮らし、その間の成長は目覚ましかった。
勉学に励みスポーツに打ち込み大勢の仲間に恵まれた。
社会人になってもこの勢いのまま更にぐんぐん伸びていくのだろうと思う。
おまえと出会えてよかった。
息子にはそう思われるような男になってもらいたい。
父としてそう望み、いつしかわたし自身が心底そう思っていることに気がついた。
息子と出会えたことはわたしにとってこの人生最大の吉事であった。
そう断言していいだろう。
そして先日の大学の卒業式の場で、彼がそう思われるような男になっているのだと実感できた。
何人もの友人たちと笑顔で記念写真を撮る光景に触れ、親冥利に尽きるとはこういうことかとしみじみと理解できた。
この四月から社会人となり、更に多くの出会いが彼を待つ。
出会えてよかった。
そう思われるような人物であって欲しいと引き続き親の願いは変わらない。
喋りは達者で面白く、仲間思いで頼り甲斐もある。
それに加えてガッツがあって度胸もいい。
親の贔屓目をぜんぶ差し引いて第三者的に見てもいいところだらけ。
彼と出会えてほんとうによかった。
新年度の初日、とても晴れがましくわたしは心からそう思うのだった。