いい話はいつだって向こうからやってくる。
今年も出し抜けにいい話が舞い込んだ。
「いつかそんな風になればいいのに」
わたしはただそう漠然と思っていただけのことであった。
昨年時点で誘いがあったのに、だからわたしはチャンスの到来に気づかず、単なる社交辞令と思ってぼんやりとしたままだった。
ところが先方はすぐにでも動く必要に迫られて、ことここに至ってようやくのこと真剣な話だったのだとわたしは理解することになった。
小舟であっても何がしか有用であれば出番が多々あって、今後、大船が先導してあちこち道案内してくれることになる。
つまり大手が絡んで良顧客が増えていくことになるから、これぞ「願ったり叶ったり」という話であって、だからわたしはつくづく思う。
ああ、なんてわたしはツイているのだろう。
そしてこれまでを振り返って改めて思うのだった。
知らず知らずステージが整って、あとになってその意味を知ることになる。
そのときには分からない。
あのときあの人が声を掛けてくれた。
で、あの人を連れてきたのはこの人でと、そんな風にたどって行けばキリがなく、つまりわたしにとって関わる人すべてが恩人ということになる。
今回、この歳になって更なる飛躍のきっかけを得て、伏線回収というのだろうか、10年もすればまたいろいろなことが結びつき、ああなるほどあのはじまりがこのように帰結するのだと感慨にふけることになるのだろう。
一般の人が定年となる65歳でわたしはまだまだ道の半ばを突っ走り、ちょうどその頃、息子たちが男盛りの35歳へと差し掛かる。
寿命尽きるまで、楽しみが尽きない。