プエルタ・デル・ソルがガイドとの待ち合わせ場所だった。
シベーレス広場からぶらり歩いて、途中、カフェに寄ったりチュロスを食べたりしてちょうどよい時間になった。
マドリードの旧市街を案内してくれるのはスペインにて歴史学を学ぶカナダ人女子のHayleyだった。
家内と彼女が横に並ぶ後をついて歩いてマヨール広場へと向かった。
スペインの興隆やナポレオンとの攻防と凋落、過去の圧政など歴史について語る話に最近のトピックも折り混ざりとても興味深い話が続いてわたしたちは熱心に聞き入った。
どんな街にも陰陽がつきまとう。
なんとなく湿気って澱んで重たい空気を感じて、ああ案の定、マヨール広場はかつて公開処刑場であったと聞いて納得がいった。
当時娯楽のなかった民にとって公開処刑は人気の出し物だったそうである。
そして処刑にも貧富の差があった。
富める者は一思いに貧しい者はじわじわと。
される側も観る側も、彼女の描写で過去がまざまざと蘇ってヒトのリアルにわたしたちは慄然となった。
もちろんそんなガイド的な話ばかりではなく彼女の家族の話や趣味やいまの暮らしについてもいろいろ聞いて仲良くなった。
オリエンテ広場にて一緒に記念写真を撮り幾らかチップを手渡して別れ、わたしたちは王宮を見学し、そこからタクシーで移動しプラド美術館を訪れた。
スペインではFREENOWというアプリが実に便利ですぐにタクシーをつかまえることができる。
主だった場所を目に納め、帰りもタクシーを使った。
その道中、ホテル近くにいい感じの中華を見つけ夕飯はそこでとることにした。
頼んだどれもが絶品で、スペインの地にてわたしたちは中華最強論者へと宗旨替えした。
中華に満たされて後、夫婦で夕焼けを眺めて帰途を歩き、人が手掛ける何よりも自然が断然美しいとしみじみ思った。