ぐっすり眠って、朝6時には目が覚めた。
さあ、温泉。
前日は夢泉景に入ったので、この日はニューアワジの方へと向かった。
繰り返しサウナに入った後、海と空が青く溶け合う景色をのんびり眺めて湯につかった。
なんであれ、まあいいではないか。
日曜の朝、実におおらかな気持ちに包まれた。
部屋に戻り、目を覚ました家内と一緒に朝食をとった。
わたしが暴走しないよう、家内が取り分けたものだけ食べたのであったが、さすが淡路島、土地の料理がすべておいしく、前夜に引き続きわたしたちはいたく感動することになった。
特に、炙っていただく穴子の干物が秀逸だった。
食後、家内は風呂へと出かけ、わたしは部屋の露天風呂でくつろいだ。
野鳥の鳴き声に耳を澄ませ、海を渡る漁船の航跡をぼんやり眺めた。
なんて素晴らしい時間なのだろう。
やはりたまには腰を上げ温泉地にやってくるものである。
この一泊二日で間違いなく、心まで洗われた。
夫婦それぞれ洲本の湯を心ゆくまで堪能し、午前11時にホテルを出て道の駅へと向かった。
せっかくの淡路島である。
地元の食材をたっぷり仕入れることにしたのだった。
長男が出張で月曜から木曜まで大阪にやってくる。
淀屋橋のホテルに泊まり、夜は会食で埋まっている。
彼はそう言うがもしかしたらひょっこり顔を見せるかもしれない。
家内はそう思うから、どうしたってあれもこれもと買い込むことになるのだった。
昼食は遅めの時間で予約していた。
が、空腹を覚えない。
それで少し歩こうとなって、洲本城跡までの山道を登った。
ひと気のない急斜面を進み頂上まで20分は要したから、ちょっとしたプチ登山のようなものだったが、われら健脚夫婦にとってはこれくらいしないと腹ごなしにならない。
淡路島にて向かうところ敵なし。
昼食に選んだのはこの地にて食べログナンバーワンの店だった。
噂に違わずすべての料理が素晴らしく、ここでもわたしたちは淡路島の野菜と魚と肉を満喫することになった。
淡路牛のステーキが登場する頃合い、海に面した席へと移動して景色も楽しんだ。
食事を終えて帰阪。
明石海峡大橋を渡るまではスムーズだったが、夕刻の阪神高速はかなり混み合っていた。
後部座席に座る家内が二万語を話すついでに、肩を揉んでくれた。
首を絞められる夫でなくてよかった。
わたしは心からそう思った。