遠方へと出かける仕事が生じると、しばしば家内が運転を買って出てくれた。
それが夫婦の遠足みたいになって、仕事を済ませて一緒に遊んだ。
昔は連日仕事に明け暮れ、たいへんだった。
そう記憶している。
それでも時折、そんな遠足みたいな日が差し挟まっていたのだから思えば牧歌的な日々だった。
ここ数年は忙しく、出先にて夫婦で遊ぶといった「遠足業務」からは遠ざかっていた。
が、たまたまこの土曜、遠出する案件があってしかも仕事はそれだけ。
顔合わせの挨拶だけだから実質30分もあれば片が付く。
それで久々。
ついでに遊ぼうとなって家内が運転を買って出てくれた。
行き先は兵庫の西の端。
クルマを走らせて到着が昼過ぎ見込みだったから、ナビでの目的地をそうめんの名店「霞亭」にセットした。
前回訪れたのは3年前かな。
家内はそう言うが日記を紐解くと実際は7年も前のことだった。
7年前と言えば息子たちはまだ中高生だった。
夫婦で過去を振り返り車中で昔話に花が咲いた。
今でこそ笑えるけれどといった話ばかりだったから楽しく語らい同時に肝が冷えた。
先のことなど何も分からず、数々の難所を夫婦でくぐり抜けて来た。
つまりわたしたちは雨の日も風の日も一緒に生きてきたのだった。
おいしいものを食べ温泉に入って楽しく過ごそう。
この土日の予定について話してわたしは思った。
この先の日々は、遠足が主であって構わない。
わたしたちは人生のうち最も楽しい時期に差し掛かっている。
そう見通して的外れなことではないだろう。