KORANIKATARU

子らに語る時々日記

互いの没頭が競争心に火をつけた

日が差したのは久方ぶりのことだった。


朝食を終え、家内がベランダに布団を干し始めた。

わたしもつられて、裏庭に布団を運んだ。


これを皮切りに大掃除にかかる日曜となった。


家の南側で布団に陽光を浴びせる間、寝具を洗濯し各所にルンバを走らせ、わたしはハンディクリーナーを手にとって隅々まで清掃し、家内はスチームクリーナーを手に床全面をキレイにしていった。


日頃は黙過する箇所も一網打尽にした。


わたしはベッドを動かし床面に潜む塵埃を一掃し、家内は窓枠や照明器具の奥に隠れた汚れにまで手をかけた。


途中、簡単に昼を済ませ、午前の勢いのまま午後も作業に没頭した。


没頭が没頭を呼んだ。

夫婦互いの没頭が競争心に火をつけ、作業は微に入り細にわたりかつ長時間に及んだ。


本気で取り組めば、家事は並大抵の労では済まない。

たまに男手もないと家が整うはずもない、そう痛感した。


その昔、ある友人が飲み会のときにこぼしていたことを思い出した。


女房がまったく掃除をしない。

家事全般を疎かにし、それであちこち出かけて遊び呆けている。


食事はスーパーの惣菜ばかりで、家は散らかり放題、日に日にカオスの度を極めている。

そして当の本人はブクブク太り、たまにこく屁が死ぬほど臭い。


地獄に暮らす友人に憐憫を覚え涙禁じ得なかったが、打つ手はあるかもしれないと今なら思う。


わたしが家内につられた逆を行くのはどうだろう。


彼が率先し家を片付け料理に励む。

つまり、奥様を焚き付けて、奥底で眠る献身の情を揺り起こす。

女房殿は一念発起し家事に勤しむのではないか。


そうならなければ、そういう相手を選んだ自分が悪い。

他責はほどほどに、家事と仕事の二刀流と腹を括るほかないだろう。

大谷にできて君にできないはずがない。

 

女房殿はVIP席に座る客だと観念し毎日MVPを目指す。

それが君の道。

であれば、突き進め。


徹底的に頑張って、夕刻には力尽きたが家の過ごしやすさは格段に増した。

心晴々、夫婦それぞれ胸の奥まで吸い込んだのは充実感だった。


あとは日曜の団欒。

ゆっくり風呂に入って、家内が軽く肉を焼いた。

夕飯を食べつつ電話を通じ、子らの休日に耳を傾けた。

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2021年7月11日 朝(そうめん)昼(老祥記の豚まんとしじみ汁)

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2021年7月11日夕飯 チンジャオロースと焼肉