1
土曜夕刻、日足が伸び、まだまだ明るい。
事務所を後にし二男とともに帰途につく。
通りかかった満海で刺し身盛りが値下げになっていて、買う予定もなかったが残り二盛りを引き取った。
ちょうどその同じ時、家内はアクタの山垣で肉を買っていた。
2
刺し身については、値段が下がっていたのだから仕方あるまいと家内に釈明し、前菜としていただくことにした。
赤ワインを家内と私のグラスに注ぎ、子らを交えて団欒の時間を過ごす。
学校で交付されたばかりの年間成績について長男から発表があり、私は体重の順調な減少について報告し、二男は久々に顔合わせた長男に対し塾について近況知らせ長男は目を丸くする。
後は、家内の独演会。
思い返せば、かれこれ十年以上、このように食卓を共にし、子らの成長を見守り、家内の話に耳傾けてきた。
平然と当たり前のようにそのような日々を何年も何年も過ごしてきたが、こういった平穏にこそ最大限の感謝を向けるべきなのであろう。
東京で一人暮らした年月は、都会に身を置く瀟洒なイメージからは程遠く、どちらかと言えば内実空虚なものであったように思う。
子らが育ってますます元気で家内の機嫌も良ければ、我が家の日足は更にますます伸びていく。
生活の実質とはこのようなことなのであろう。
3
日曜朝、例の通り長男はラグビーに出かけ、私は二男とともに事務所にやってくる。
ファミカフェで、私はブレンド、二男はカフェラテをカップに注ぐ。
事務所のブラインドを開け放ち、明るい朝の光浴び、二人お茶する時間を過ごす。
私は仕事し、かたわらで二男が勉強をこなす。
そんじょそこらのレベルではない算数に食らいつく様子に目を細め、その姿を励みして、目を塞ぎたくなるような仕事の課題に目を見開いて対峙する。
昼に阪急オアシスに出向いて食材調達し、食事する片時、HDD収録の星新一のドラマを流す。
一日の勝負は午前中に決まる。
So far so good 、何とか順調無事に中身ある一日を過ごせたようだ。
あとは慣性のまま夕刻までの時間を駆け抜けるだけ。
そして、これまで同様に、夜は家族揃って我が家で夕飯。
既に赤ワインは購入済みである。
4
晴天の春の日曜日、子らは元気で仕事も順調、鼻のとおりも頗るいいが、気がかり一点。
先日買い揃えたはずの「寄生獣」全8巻のうち、長男も二男も7巻まで完読し、さあいよいよ結末はとなったところで、肝心の第8巻がどこに失せたのか見当たらない。
見つからなければ8巻を再購入せねばならないのか、なんと勿体無い。
この一点についてのみ何とも気の晴れない日曜午後なのであった。