上の息子を送り出し、行きのハンドルをわたしが握って実家に向かう。
大晦日を義父宅で過ごした下の息子はそこから直接実家にやってくる。
年明けの挨拶を済ませ軽く食事し、下の妹家族とともに実家を後にした。
直後、下の息子が急に思い立った。
東京に行こう。
瞬時に話が決まり、下の妹の息子を伴いその足で東京に向け出発することになった。
歳が近くて仲もいい。
そんな従兄弟どうし二人でする小旅行が微笑ましい。
快く送り出し、最寄りの駅で二人並ぶその背を見送った。
帰りは家内に運転してもらう。
家に着き、まだ午後の早い時間であったが、この日のため買ってあったスパークリングを開け新年の乾杯を交わした。
そして夫婦で飲みつつ手分けして年賀状を一枚一枚めくっていった。
幸いにもデビルからの年賀状はわたしの手にあった。
そこにはこうあった。
ブログを楽しみにしている。
手練れのマジシャンがするみたいに素早く自然にわたしはその年賀状をジャケットの内ポケットに忍ばせた。
この日記はここだけの話。
わたしが日記男であることは家内には秘してある。
人づてに明るみになりこれまで何度、アカウントを無にしてきたかしれない。
デビルのメッセージ自体は嬉しいものであったがその年賀状をもし万一家内が先に目にしていれば、本年初日からことであっただろう。
その日のうち、このアカウントは姿を消していたに違いない。
僅差まさに紙一重の幸運にわたしは心中で十字切るような思いであった。
年賀状の分別を終え家内がつまみの用意をしてくれる。
年末、旅先の北海道から上の妹がカニを送ってくれていた。
そのタラバガニにかぶりつき、シュワシュワのスパークリングを飲む元旦のなんと幸せなことだろう。
夫婦で2019年の門出を愛でつつ注ぎ合って下の息子から随時送られてくる写真を眺める。
上の妹と無事合流できたようで、まもなくその家族と神楽坂のお店でてっちりを囲む写真が届いた。
二男の前には上の妹の子どもらが並んで座っている。
これまた歳近いいとことの交流が喜ばしい。
わたしの妹たちと家内は仲が良くだから尚更その子どもたちどうしも仲が良い。
自然に深まるよりも更に深く、いとこ同士の行き来が増え関わりが深まることに家内が一役買っていると言ってよく交流促進の功労者であることは間違いない。
そうこうしているうち時間は過ぎた。
上の息子が帰ってくればステーキを焼く。
家内はそう言って支度を始めた。