2014-01-01から1年間の記事一覧
1ミスト設定にし噴霧する湯の雫を全身に浴びつつ風呂を洗う。さっきの踏切の光景が蘇る。長距離運転し間もなく家というところ、鳴尾の踏切がなかなか開かない。右側に停車中のバンの助手席にふと目がとまる。柴犬が行儀よく座っている。端正とも言える顔を…
1車検終えたクルマを引き取るため今宮駅で降りた。ここで降りたのは生まれて初めてのことであった。日頃寄る店も用事も知人もないし、仕事先もない。夕刻、風が冷たい。空も路面も鉛色。道端のゴミが凍ったように見える。しばらく歩くと左手にクルマ屋が見…
1月曜明け方、余計なことは考えない。やや風邪気味、だるい、体調が思わしくないのが明白だ、しかも頭痛まである。しかし、そんなことに構いやしない。どの道、なんとかなる。そのようにやってきたし、実際、なんとかなってきた。体調悪くても、大抵そのう…
1コインパークの精算機に0円と表示される。故障かと訝しむが、駐車枠を確認すると既に車輪止めのストッパーが降りている。今しがた誰かが誤って私のパーキング代金を精算してしまったに違いない。900円が宙に浮いた。あたりを見回すが、900円を取り返そう…
1電車で通勤となれば始発に乗る。いつもどおりホームの最後尾で待つ。その場所でほぼ毎朝、杖を使う初老の男性をお見かけする。右足が不自由なようである。毎回私は、その老人が席にありつけるかどうかやきもきすることになる。始発電車は思った以上に混ん…
1たまたま早い時間の帰宅となった。長男が夕飯を食べている。色とりどりの天ぷらをサイドに盛ったつけ麺、牛肉の卵とじ、それに野菜スープ。なんて凝った手料理なのだ。それに加えて刺身盛り合わせまで添えられている。こんなものを当たり前のように食べて…
1夕暮れ時の街路、通りの向こう側に知った顔を見つけた。おーい、と界隈の視線を一挙に集めてしまうほどの大声で呼びかけた。まるで子供みたいだと思いつつ、信号を駆けて渡って走り寄った。彼は家族連れであった。美人の奥様に続き、ご子息が「こんにちは…
1「26世紀青年(原題 Idiocracy)」は一見どこからどうみてもコメディであり、終始抱腹絶倒となるのだが、見終えた後になってからじわじわと恐怖感が込上がってくる。突き詰めればこれはホラー映画と分類されるべきものであろう。子作りにおいて知的層は慎…
1朝5時、真闇な通りの向こうになか卯が見える。飯食う人で席が埋まっているのが遠目で分かる。なか卯での朝食はあきらめ手前側にある牛丼屋に入った。朝食セットを食べるつもりだったのに、なぜだろう、カレーライス330円のボタンを押した。具のないカレー…
1小雨が降り始めた。フロントガラスに落ちる水滴が寄り集まって景色の輪郭がおぼろになっていく。色とりどりの光が滲んで混ざり合う。忙殺の月末を切り抜けた。沈み込むようにシートにもたれ、腕をハンドルにぶら下げる。大阪から兵庫へと差し掛かる地点、…
1夕刻長男を乗せて薬師町にある松田整形外科クリニックへ向かう。院長はラガーマン。ラグビーで怪我したなら当然ここで診てもらうことになる。道中、中間テストや英検の結果について長男が話し始める。このところ何も言い出さないのでもしや悪かったのかと…
1日曜朝、いつものように関口宏の「サンデーモーニング」を流しながら軽作業に勤しんでいた。先日の橋下市長とレイシストとの面談の様子が流れたので、手を止め目をやった。おばちゃんの党の谷口某という、見るからに大阪のおばちゃんっぽいガタイのコメン…
1ヘイトスピーチに見られるような「破壊的言説」が表沙汰となってきたのは2000年代頃からであったと言われる。それまでは密かに語られることはあったとしても、あのような薄ら寒い言葉が大手振って闊歩するようなことはなかった。どれだけ強面の街宣車であ…
1久宝寺駅で我に返る。難波行きだったはずの電車がいつのまにか正反対の奈良行きとなっている。今年二回目だ。前回は天王寺駅で気づいた。GWのことであった。今回は久宝寺まで来たのだからかなりの昏睡であったのだろう。難波で折り返し天王寺までは3駅。…
専門とする糖尿病に関してはもちろんのこと、内科医としてあらゆる分野に精通し、しかもその人的ネットワークも盤石であり、それに加えて気さくな性格でもあるので、医学的な見解について話を伺うとなった場合、最初に名があがるのは決まって阿倍野・田中内…
1仕事場近くの居酒屋で一人飯。早朝から精出しちょっとばかり手強い一日を乗り切った。懐具合を気にせずぶらり飲み屋で飯食えるようになる、それが学生時代の夢だった。ワンルームの床に缶ビールとつまみを置いて、一人わびしく14インチのテレビ見ながら、…
月曜日、500ml缶6本3セットを駅前のコンビニで買い近鉄百貨店で買ったイカ飯と貝類焼物の他に、雨も本降りとなりそうな宵のうち、傘も差すのでたかが10分の道のりなのに顔面歪む。弟と親父囲んで男三人での家呑みが始まる。飲み物が足らぬといった失態を犯す…
1対峙した相手が、例えば精悍な面構えで、着こなしもきちんとして、知性ある雰囲気を醸し、尚且、聴き惚れるような低音でもって理路整然と持論を展開したのであれば、手に汗握る展開というのもあり得たのかもしれない。しかし、いずれの点においても見劣り…
1日曜日夕刻。二男お気に入りの上方温泉一休へ向かう。日曜日とあって大混雑であった。予想通りとはいえ窮屈にもほどがあるといった混みようである。お湯場入り口の階段に海外からの旅行者が並び入浴の順番を待っている。立場を置き換えて考えてみる。もし…
1のどかで美しい田舎町の光景から映画は始まる。水路と路地が町を縦横にめぐり、そこで人々が暮らす。物語がそこから立ち昇る。少年チュンが分娩の場に呼ばれる。難産のようだ。景気付けに一曲演奏するよう請われ、チュンがヴァイオリンを弾く。チュンのヴ…
1文科省の調査によれば小学生の暴力行為件数は97年の調査以来増加の一途をたどり7年前の3倍にも膨れ上がって13年度には初めて1万件を突破した。ますます低年齢化し凶悪化する傾向にあるという。具体的にどのような行為を暴力行為としてカウントしている…
学校の先生が君たちのクラスに配布した作文心得八ヶ条はたいへん的を射たものであり、おっさんの私でも感心する点が多々あった。その8つについては部外者が取り上げる話ではないので、父としては別途独自の八ヶ条を模索してみたいと思う。そこで今回は本来…
1日陰に入ると途端に風が冷たくその肌寒さが心地いい。空は青く、照り返しの光はどこまでもキラキラとして、おまけに金木犀の香りが空気に滲み渡り、街を歩くだけで上機嫌、幸福な気持ちとなる。生きて在ることの素晴らしさを心ゆくまで堪能できる、百点満…
1事に臨んで心に火をつける。そのような必要が生じたとき、ロッキーやベストキッドもしくはミッション・インポッシブルのテーマを聴いて気持ちを高めたり、はたまた人によってはオールブラックスのハカの動きをなぞり「カマテカマテカオラカオラ」と腹から…
1元をたどればサルであった。ヒトの本性を知る手がかりとして、共通の祖を持つ類人猿各者を見渡すことは意義あることであろう。前回書いた京阪電車の一件についても、その若者がヒトではなくチンパンジーなのだと置き換えて見ればその邪知暴虐な行為に何ら…
1京阪電車ホームでの出来事。ごっつい図体のヤンキーの青年が、ペンシルで組み立てられたかのようなおじさんの腕を掴んで引きずりまわす。懇願する風におじさんは許しを求め若者にすがるが若者は容赦なく腕を掴んだまま腹部を打撃し腕を支点におじさんを更…
1仕事場を15:30に出発し、家内が予約した焼鳥人気店に到着したのは17:45。カウンターに座って家内の到着を待つ。私のジャージ姿が奇異なのか周辺の客と一瞬目が合うが、しかしすぐに目を逸らされる。まだ5時台なのに店は混み合い満席だ。みな上機嫌で焼…
1三連休前の金曜日、いつにも増して二号線西行きの道が混んでいる。厚く層をなす雲が波状にうねって低く空を覆っている。ちょうど日暮れ時。雲全体が西を起点に赤く染まり、その赤さが尋常ではない。はるかその向こう、台風が迫っていることが分かる。無と…
1一杯飲もうと家内を伴いワインバーに向かうがあいにく休業日であった。それで駅南口近接のバーに入った。家内がグラスワイン、私は店主お勧めの「シングルモルト」のロックを注文する。今まで味わったことのないような風味、清涼な甘みが心地よく臓腑に沁…
1朝、子らを起こす。階下ではカニで出汁とった雑炊を家内が作っている。目を覚ました二男が言う。「あ、冬の匂いがする」そのように一日が始まった。2試験期間に差し掛かった長男には昼も夜もない。台風で学校が休みであったため彼は私の仕事場で勉強する…