KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

途中から二手にわかれた

聞こえてくるのは鳥のさえずりだけで、耳を澄ませばかすか波音も感じ取ることができる。 そんな静かでのどかな日曜の朝、ジムで精を出す人など誰もいなかった。 好き放題マシンを独占し、忘我となってカラダをとことん追い込んだ。 たっぷり汗をかいて、続い…

この日も緩やかに時間が流れていった

ゆっくり眠った翌朝、クルマを走らせ伊良湖岬を目指した。 道中至る所にメロン農家が点在していた。 ここは日本屈指の温暖な地域なのだった。 メロンかき氷との看板が視界に入ったので立ち寄った。 産地で食べるメロンの甘みは際立っていた。 これを朝食とし…

五十を過ぎればこんな時間が心地いい

朝7時半に家を出た。 助手席に座る家内があれこれ調べ、その指示に従い高速道路を三ヶ日で降りた。 炭焼うなぎ加茂の開店は11時。 その前に到着したが、すでに満杯だった。 12時半過ぎには席が空くとのことだったので、高速道路に戻って浜名湖サービス…

戦闘能力は母親ゆずり

息子たちにも乳児といった時代があった。 文字通り家内が乳をやりおむつを替え風呂に入れ寝かしつけ、一時も離れず息子たちを守り育ててきた。 その時期を思えば、とてもよく分かる。 家内という母の実際性と比較して、わたしという父は観念的な存在に近い。…

旅によって家族の存在が一層濃く刻印される

わたしたちは四人家族であるが旅先においてこそ四人であることがくっきりと際立つ。 家族でいろいろな地を旅してきた。 そしてどの場面においても四人は一体であった。 西陽を受け、旭川から札幌へと向かうクルマのなか、代わる代わる誰かが歌った。 西表島…

自営業というのも悪くない

朝一で実家に寄った。 頼まれた用事があって父に渡すものがあった。 父はポケットから一万円札を出してそれを広げながらわたしに差し出し、言った。 動いてもらったから小遣いあげるわ。 老いた父から小遣いを貰うことに気恥ずかしさを覚えつつ、この父の気…

地元で過ごしても十分楽しい

京都駅の改札を出たところからすでに大混雑だった。 コンコースは外国人旅行客や修学旅行生らで埋め尽くされ、ほんの少し歩いただけで、仕事後の散策を楽しもうといった悠長な気持ちが一気に萎えた。 先に家内へのおみやげを買っておこうと肉弾を押しのけか…

来るべき33期クライシスに備えて

泳ぎ終えてマシンスペースに移動すると、家内がパーソナルトレーニングを受けていた。 取り組むマシンが時々隣り合うが、特に視線を合わせることもない。 まあたまにはそんなこともある。 天気と同じ。 晴れてばかりであれば、それはそれで極端な気候と言え…

川の字が腹を抱えて巛の字になった

週の出だしの月曜日、家族のうちもっとも早く始動したのは長男だった。 朝7時、いま出社したとのメッセージを見て、わたしたちも動き出した。 家内は息子に送る料理を作りはじめ、わたしは事務所へと電車で向かった。 このあと家内はクルマで出かけてパル・…

女房が喜ぶと思うとわたしも嬉しい

もはや季節は夏へと移行した。 が、まだ序盤に過ぎないから朝夕は涼しい。 その涼しい時間を逃さず、わたしは家の掃除にかかった。 ルンバを各部屋に走らせ、その間、玄関から各部屋へと至る導線を磨き上げ、最後は端や隅に居残るホコリをマキタの掃除機にて…

親バカの空想はこの夜も天高く羽ばたいた

ちょっとチープな感じがして、これまで近寄らなかった。 しかし、この界隈の店は一通り行き尽くしてしまっていた。 つまり選択肢がなかった。 まあ、ものは試し。 ダメ元で訪れた。 ところが大当たりだった。 メニューに「松阪のソウルフード」とあって頼ん…

思い出すとすべてが愛おしい

朝5時から自室で業務をこなし、あらかた片付いたので午前7時半には家を出た。 今にも雨が降り出しそうな空模様であったが墓参りの時間まではもつように思えた。 実家で父をピックアップし、その際、家内が父のために作ってくれた料理を玄関に積み置いた。 …

誰であれ真っ直ぐ歩き続けるなどできやしない

東梅田駅へと差し掛かる地下街をまっすぐ歩くなど至難の技である。 四方八方から無秩序に人が押し寄せ、その様は微粒子が不規則に動くカオスそのもの。 まっすぐ歩く。 そう強く意思したところで、多数の意思がランダムに入り交ざり、結果、思いもよらぬ軌跡…

ぱっと生じる何かと出合えただけで僥倖

南森町での業務を終えたとき、抜き差しならぬような疲労を覚えた。 このところ忙しい。 疲れが出るのも無理はないと思えた。 日本一長いとされる天神橋商店街を歩きながらマッサージ屋を探した。 平日の夕刻、すでにあちこちの飲み屋が店を開いて盛況で、一…

いいように見え、実は全然ちがった

仕事を終えたとき、わたしは阿倍野にいた。 駅へと向かう道は飲み屋だらけで、家内はママ友らと出かけて留守だったから、ひとりで夕飯を済ませて帰ることにした。 地元の駅前で軽く飲み直して帰宅するとまもなく家内も帰ってきた。 この日家内が見聞きした話…

旅の行き先が時計の文字盤を形成してゆく

旅行が夫婦共通の趣味だから、ジムを終え、今後の行き先について話し合った。 行き先の柱となるのは東京で、これは息子たちがその地で暮らすから当然そうなる。 それで幾つかの日程で宿を探して驚いた。 どこもほぼ満杯で、空いていても値段が跳ね上がってい…

雨の日は泣いて歩くのにちょうどいい

土日にたっぷりと運動し、カラダを動かすことの喜びにひたった。 日々よく眠れ、食欲も旺盛。 それでカラダも頑丈でよく動く。 申し分なく健康で、その健康を思うと感謝の念で胸がいっぱいになる。 それにこの健康が「いざ」という時の備えともなる。 健康で…

どうせ増えるなら思い出も増えた方がいい

連休が明けて仕事が立て込み、一昔前の過ごし方へと退化した。 仕事で遅くなって連日飲んで、若き頃に夢見た理想の毎日を地で行ったのであるが、こうまで続くと楽しいを通り越す。 先週の日曜を最後にジムへは行かず、時間を見つけて水曜の朝と木曜の夕方に…

芦ラグメンバー東京組 虎ノ門にて集結

場所は越後屋玄白。 勤務先が東京となった新卒の4人が集まった。 大手広告代理店に大手ゼネコン、そしてこのほど純利益がそれぞれ1兆円を超えた総合商社など就職先は各々別々だが全員が芦屋ラグビー出身者であるという点で共通していた。 小4の夏。 一人…

調子が悪くてもその片鱗を見せる

朝、曇天の空を眺めながらホテルのラウンジで珈琲を飲んだ。 天気予報は昼から雨だと告げていた。 だから、ゆっくりなどしていられなかった。 わたしたちはさっさとホテルを後にして、クルマを松島海岸へと走らせた。 船着き場にたどり着いたとき、ちょうど…

活気が夜風に運ばれ視界すみずみにまで行きわたった

仙台駅周辺はたいへんな混みようだった。 駅前のロータリーにひっきりなしにクルマが入って、その列がはみ出て道が塞がる。 だから信号が青であっても前へと進めない。 赤になるとまた横からじゃんじゃかロータリーにクルマが入ってしばらく同じ状況が続いた…

新緑が生きる力を呼び覚ます

慌ただしい時間の流れが、猊鼻渓にて一変した。 深い青をたたえる水面には波一つない。 目線の先にその水面を見ながら、百メートル超の絶壁に挟まれた渓谷のなかを、ゆっくりと運ばれた。 絶壁を覆う新緑が燦々と光り輝く。 5月の陽光が光合成には最適なの…

所属の外でその神通力は通じない

温泉宿であるから朝も湯につかった。 風呂をあがって朝食はビュッフェ。 所狭しと並べられた地元食材のうち幾つかを選んで朝食を済ませ、この日もさっさとホテルを後にした。 午前中には盛岡市街に入った。 城跡公園の駐車場にクルマを停めそこらを散歩した…

急ぎ足で振り返る急ぎ足で駆け抜けた旅行二日目

旅行二日目も忙しく動き回った。 清涼感たっぷりにせせらぐ奥入瀬渓流を散策し名所を一通り見終えて、クルマを八甲田山へと走らせた。 標高1,025mの笠松峠を過ぎると道路側面の随所に残雪が連なり季節が逆行したように感じられた。 途中、酸ヶ湯温泉があった…

旅は序盤から最高潮に達した

昨年のGWは東京からの帰りに熱海、下田、三島と伊豆半島を三泊四日で渡り歩いた。 今年は東北地方を旅先に選んだ。 渋滞を避けるため朝8時にはタクシーに乗って伊丹へと向かった。 が、いつも以上にスムーズ。 運転手が裏道を駆使して30分もかからず空港に…

二人の存在を抜きにその成長と幸福は語れない

GWといった長い休みに入ると彼らはよく祖父母の元へと通った。 ラグビーをし塾へと通うようになるまではそれが定番の過ごし方だった。 そんな彼らをじいちゃんは交通科学博物館へ、一方、ちゃーちゃんは近所のツタヤへと連れて行ってくれた。 乗り物好きの彼…

頑丈であることは男子必須の身だしなみ

GWといっても旅行するなどかつては叶わぬ夢であった。 だからどのGWを振り返ってみても何をして過ごしたのか印象的な記憶がない。 仕事の仕込みにじっくり勤しみ、遊ぶと言っても散発的にその合間、家族と食事に出かけたくらいだろう。 行き先も限られて明石…

あの道がこの道へと続いていた

塾に通えば誰だって、灘を夢見ることになる。 小4となる春、長男が塾に通い始め「灘」との光り輝く目標が彼の頭上にも瞬きはじめた。 遠い昔のこと。 わたしも例外ではなかった。 小6となる春、阪神受験研究会の公開テストを受け、700人ほどの受験者のなか…

休日っぽい平日、不思議な気持ちに捉えられた

連休の谷間となった月曜と火曜は、電車が空いていて一方繁華街は混み合い、どことなく休日の雰囲気が漂っていた。 その両日ともバカのひとつ覚えのようにわたしたちはジムへと通った。 特に火曜はよりいっそう休日風情が強まって、夕刻のジムはガラ空きだっ…

どこかで「苦痛」から解放されたのかもしれない

この夫婦は他に行くところがないのだろうか。 連日、連れ立ってトレーニングに励んでいるから、そう思われていてもおかしくない。 わたしは仕事を終え、家内はヨガやら何やら用事を終え、家で合流しジムへと向かう。 まるで夕刻の決まった儀式みたいになって…