KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2022-01-01から1年間の記事一覧

ライブな何かがあった方がいい

焼肉萬野の前で手を振ってわかれ、わたしは天王寺駅から電車に乗って帰途についた。 途中、電車がやけに長く停車していたからもしやと思って気がついた。 大阪駅に向かうつもりが難波行きに乗ってしまい、わたしはその終点の地へと運ばれたのだった。 難波駅…

誰かの幸せを一緒になって喜ぶ

仕事を終えてまもなく夜。 家内はママ友と食事するとのことで留守。 だからわたしはひとり明石で夕飯を済ませることにした。 中高を通じて息子らはよき友人を多く得て、家内も同様に良きママ友を幾人も得た。 わたしだけが例外で、パパ友など一人もできなか…

月曜夜の些細な出来事

ジムからの帰り道、ガーデンズに寄った。 今夜飲むためのノンアルを買い、家内のためにはちょっといい感じのワインを買った。 さあ帰ろうと駐輪場に向かうが、自転車が見当たらない。 停める場所はいつも同じ。 駐輪場に入ってすぐ、右手の場所に決まって停…

カラダ一つで幸福

空を眺めているだけで心が浮き立つ。 そんな快晴に恵まれた日曜日、わたしは一人解放されて丸一日、自由を謳歌した。 一昔前のわたしならこの自由を読書や映画鑑賞に充てただろう。 が、いつしか体質が変化した。 まずは武庫川へと繰り出した。 広々とした空…

京都から大阪をひとまたぎして神戸に向かった

土曜の朝、ランニングを終え家に戻ると、家内に出発時間を告げられた。 さっさとシャワーを浴びて支度し、指定された十一時半には家を出た。 行き先は京都。 紅葉のシーズンであるからクルマだと渋滞に巻き込まれるのは目に見えていた。 だから電車を使った…

滞在メモ三日目

空が白みはじめた時刻、わたしは30階に降りプールへと向かった。 こんな早朝に泳ぐ人は他にいない。 一人でプールを独占し、悠々と泳いだ。 泳ぐと感覚が変質する。 カラダが水に溶け込んで拡張し、意識だけが水に浮かんで肉体のリアリティが消失する。 薄闇…

滞在メモ二日目

夜半から雨が降り出した。 朝になって更に雨脚が強まった。 だから午前中はホテル内に留まることにした。 家内とともにプールで泳ぎ、それぞれサウナでゆっくり過ごした。 宿泊客の多くが外国人で、プールでもサウナでも隣の客は外国人だった。 東京もまた以…

滞在メモ一日目

三田から紀尾井町のホテルまで自転車を使った。 先月の上京の際、このあたりをランニングしていたから道順を把握していた。 スムーズに走って到着まで30分もかからなかった。 ホテルに着いてすぐ30階にあるスパに向かった。 誰もいないプールで家内と隣り合…

たまに仕事場所を変えてみる

家にも事務所にも自室があって普段はそこで仕事を進める。 しかし必ずしもそこが最良の仕事場所という訳ではないと改めて感じた。 この日早朝、家で仕事してから新幹線で移動した。 隣に座る女房の雑談を聞き流しつつ業務し、いつしかゾーンに入った。 ここ…

育つものがあれば老いもまたよし

墓参りを終えた帰りは息子たちの話になった。 父が言うには、前夜、二男から電話があったとのことだった。 二男は近況を語り、いまの目標について語った。 そのしっかりした口調に父は男子としての風格を強く感じたという。 たまに電話し祖父ともコミュニケ…

カラダが一番大事、元気ならそれで十分

9時過ぎには雨があがった。 家内とともに家を出た。 実家に寄って父を乗せ、母の眠る墓へと向かった。 後部座席に座る家内が母の思い出を語る。 真似て言う口調がそっくりだから、父もわたしもその話に聞き入った。 このところ母によく会う。 先日はビルの…

やあと上がった手にも身構える

問い詰められたり難癖をつけられることは滅多にないが、日々、そんな状況を深層で意識しているからだろう、ちょっとした確認の連絡であっても一瞬大げさに反応してしまう。 いつパンチが飛んでくるか分からない。 そう身構えて、やあと上がった手にもビクッ…

身の程を知って落ち着いた

十代から二十代にかけては劣等感の塊だった。 だから自分を嵩上げして見せようと悪あがきをしていたように思う。 似合わないのに値の張る服を着たり、これみよがしにちょっとした時計を袖からチラチラさせたり、会話においては見栄を張ってついつい口から小…

不在である方が存在感が増す

不思議で仕方がない。 そんな表情で家内が言う。 長男と二男からメッセージが届き、それが示し合わせたみたいにほぼ同時。 それも一度や二度ではない。 一体何がどうなっているのだろう。 偶然も重なれば、その印象が強化される。 結果、いつもそうだと感じ…

ほんの少しくらいは徳を積む

事務所の仕事を手伝って、この日の午後、家内はビジネス街を歩いていた。 風が冷たさを増すなか、路上に立つヤクルトレディの姿が目に入った。 品薄状態が続くヤクルト1000があるかもしれない。 そう思って家内は駆け寄った。 ダメ元と思っていたから、ヤク…

日常のひとコマふたコマ

ここ最近は朝6時に起きて机に向かう。 ひと仕事終えて、昨日と一昨日はいつもより早く朝9時に家を出た。 ヨガのレッスンを受けるため大阪へと向かう家内のクルマに両日とも乗せてもらい、事務所まで送ってもらった。 いつものとおり業務をこなし、夕刻には…

帰途も充実の小旅行

日曜日は終日雨。 予報はそう伝えていたが、朝、空を見ると晴れ間がのぞいていた。 降り始めるまでまだしばらく天気は持ちそうだった。 それで早朝、外へと飛び出した。 広々とした海岸を視界に捉えながら一時間ほど走った。 立ち並ぶ樹々のどこかに潜んでい…

思い出の最上位に来るのは意外な場所

週末に温泉宿を予約してあった。 振る舞われるカニが素晴らしい。 そう聞いていたから、カニとのお目見えを待ち望んで過ごす一週間となった。 指折り数えようやくその日がやってきた。 土曜の朝9時にクルマで家を出て、午前11時に宮津に着いた。 夕飯の前哨…

気がつけばいつの間にかこうなった

地味な日常の所々にささやかな楽しみを夫婦で縫い込んでいく。 この週末は京丹後で過ごすことにした。 たまには鄙びた温泉宿も悪くないだろう。 途中、宮津に立ち寄った。 訪れるのは9年ぶりのことだった。 前回は長男が中学に受かったばかりの頃だった。 …

すべて日頃の手入れの賜物

忙しい日が続いた一週間だった。 そんなときは自分に甘くしたっていいだろう。 繁忙の締め括りとなった金曜日、長時間にわたって根を詰めた業務を終え、まだ明るさの残る秋空のもと明石の街へと歩を踏み出した。 焼肉でも食べようと店を探すが、夕方5時前に…

招き入れたらお先真っ暗

いろいろな事業所をまわるが、ちょっとこれは、と手を焼く女性が幾人かいる。 できれば接するのを避けたいが話をしなければならない場合があり、そういうときは決まって気が重くなる。 大阪の下町で暮らしていた少年時代のこと。 町のあちこちに「こわい奴」…

話せば何かが降って湧く

タコちゃんにおごってもらって、店の前で別れた。 大阪星光がもたらしてくれる恩恵にしみじみとしたものを感じつつ、33期の面々について思い巡らせた。 来年ではや卒業後35年となる。 そろそろマスク着用の義務も解かれるであろうから、その機を捉え、星の光…

月より息子

業務を終え明石駅で途中下車した。 あと半時間ほど終業が早ければジムへと向かっただろうが、この日、夕刻を過ごす場としてわたしは明石の飲み屋を選んだ。 駅で塾へと向かう小学生の一団を見かけた。 うちの息子らにもそんな時代があったと懐かしい。 いつ…

出だしが肝心

たまには朝早くから仕事に出る。 朝8時台の御堂筋線に梅田から乗った。 生まれてはじめてのことだった。 その混み具合に、ふさぎこむような気持ちになった。 周囲の乗客と同様、腕を胸の前でクロスさせ祈るような体勢で人がひしめき合うなか耐えた。 幸い淀…

四人で食事する、それが基本形

信楽でセラミック・アート・マーケットが催されていた。 家内に急かされ、朝7時にはクルマで出かけた。 渋滞につかまることなくスムーズに走って一時間ほどで会場である陶芸の森に到着した。 まもなく紅葉がピークを迎える。 木々が色づき目に眩しく、空は…

街に不可欠の秋まつり

午前中に仕事を片付け、昼に武庫川を走った。 晴天であるから川や樹木の色が映え、ほどよく風が冷たく走って実に快適だった。 午後、わしお耳鼻咽喉科に向かった。 この日、秋まつりが催される予定になっていた。 夏まつりが実施され盛況だったのは三年前の…

一種のタニマチみたいなもの

銀座三越に黒はなかった。 紺でもいいかと息子が諦めかけたとき、「黒が圧倒的に人気なので黒にこだわった方がいい」と店員が助言してくれ、在庫のある店舗を探してくれた。 幸い梅田阪急のストーンアイランドに在庫があることが分かった。 その場で取り置き…

琵琶湖大橋を渡って冬支度

晴れとの予報だったから、いい景色を眺めて昼を食べようと朝8時、クルマで出かけた。 しかし、始動が遅かった。 車列の流れが途中でつっかえた。 大津の手前は更にひどい渋滞になっているようだった。 だから京都南で高速を降りた。 ここまで来れば下道でも…

また再び戦いの日々が始まる

夕刻、わたしは業務を終えて京都にいた。 深まりゆく秋、どこかで一杯と思っていると家内からメッセージが届いた。 午後6時、大阪の天満駅で。 人気のフレンチの店の予約ができたとのことだったので、京の都を後にしてわたしは一路大阪を目指した。 指定の…

男五十三歳、結婚観を絵にすればこうなる

約束の時間が過ぎた。 家内はまだ帰ってこない。 雨が降り続いていた。 クルマがなければジムに行けない。 夕刻、倦怠感もあった。 今日は休もう。 そう思うわたしの頭に近所の居酒屋が浮かんだ。 冷えたビールに香ばしく匂いたつ焼鳥。 そのイメージが膨ら…